Aqours「君のこころは輝いてるかい?」のコード進行などを語る
本記事では、Aqours1stシングル「君のこころは輝いてるかい?」より、表題曲のこちらを取り上げます。
Aqours 1stSingle「君のこころは輝いてるかい?」Full
目次
概要
2015年10月7日に発売されたAqours1stシングル「君のこころは輝いてるかい?」の表題曲です。
人気を博しているラブライブシリーズより、実質的な2代目にあたる「ラブライブ!サンシャイン!!」のグループであるAqoursのデビューシングルになります。
曲のキーはEで、µ'sの楽曲にも印象に残る曲にはこのキーが多かったように思います。
作曲の光増ハジメさんは、この曲以降「青空Jumping Heart」「Landing Action Yeah!!」など多くの曲をAqoursに提供しています。他作品では、ミリオンを中心としたアイマスシリーズなどにも曲を提供しています。編曲のEFFYさんも、編曲を中心にAqours楽曲に多く携わっています。他のコンテンツなども含め、編曲でよく名前を見る印象の方です。
歌いだし~イントロ
E | E7/D | A/C# | Am/C | E/B | F#7/A# | Am | Bsus4 B|
E | G#m | A | G#m G#7/B# | C#m | F# | A | D Bsus4 B|
非常に典型的な進行です。
歌いだしのベースラインが下降していく進行は、先日紹介した「夢のつぼみ」でも全く同一のものが用いられていました。
Aメロ
E | Caug | C#m | Bm E | A | F#m B | E | A C D |
E | Caug | C#m | F# E/G# | A | B | E | A D |
はじめは「E-Eaug-E6」の上昇クリシェにベースラインが移動しているだけと考えることができます。8小節目では、アニソン頻出のVIb-VIIbを挟んでIへ戻ります。
2段目の4小節目はF#が2拍のあと、メロディーラインとブラスの音を聞いて敢えて書くならE/G#-F#m/G#のような感じでしょうか。深く考えないならG#mでも違和感はありません。私の耳ではどう表記するのが正確かは分かりませんでした。
Bメロ
AM7 | AmM7 | G#m7 | C# |
A | C | Bsus4 | Bsus4 | A | D |
前半4小節は、細部の違いはあれどありがちな「IV-IVm-IIIm-VI」の進行。サブドミナントマイナーのIVmが醸し出す雰囲気が歌詞の不安感をうまく演出しており、王道進行のVとの違いがハッキリ出ています。最後が6度のマイナーではなく、ノンダイアトニックのメジャーで終わるのも、明るい未来を予感させます。
後半部は特筆する点もありません。VIIbを挟んで、サビの頭のIへ解決していきます。
サビ
E | G#m | C#m7 | E/B E | A | F#7/A# | Bsus4 | B |
E | E7/D | A/C | Am/C | E/B | F#/A# | Am | Bsus4 B |
サビは「I-IIIm-VIm」と進んでいきます。
基本的にここまでで解説してきたことの組み合わせです。やはり、全体を通してサブドミナントマイナーのIVmを要所に挟んでくることで、デビュー曲らしい不安をうまく含ませているように思います。
間奏
E | E/G# | A | B | C#m | F# | A | B |
D | D | Bsus4 | B |
この曲のおもしろポイント(?)かもしれません。
イントロと同じ入りかと思いきや、2小節目はG#mではなくEになっています。ストリングスを聞くと露骨ですし、この間奏では2小節目の頭に鐘系の音でEが鳴っています。
あんまり深い意味はないのかもしれないですが、ちょっと不思議です。
2番Bメロ
AM7 | AmM7 | G#m7 | C#m | F#m | Bsus4 | E | E |
A | D7 | G#m7 | C# | F#m | F#m |
CM7 | CM7 | B | B | CM7 | D6(9) |
2番のBメロを引き延ばすタイプの曲です。前半は1番を踏襲して次へつなぐ普通の進行です。
2段目はIV-VIIb-IIIm-VIの形です。VIIbはVのかわりによく差し込まれますね。
4小節目はキメ1つずつでコードが変わっているでしょうか。面倒なので省略してしまっていますが、ベースはC#-D#-E#-E#-F#(4拍目裏~5小節目)と動いていて、それにあわせて上に乗るコードも変わっていっています。
最後はメロディーとブラスのトップがBの音を、主に右から聞こえるブラスの下がEの音を保持しているように聞こえます。
2番サビ終わり~間奏
A | E/G# | F#m7 | E/G | D | C#m | C | D |
E | G#m | A | G# G#/B# | C#m | D E | A | A E/G# |
F#m7 | E/G# | A | E/G# | D | C E/B |
A | F#/A# | Bsus4 | B | D | B |
「ぼくらのゆめ~」からです。
この曲は本当にD(VIIb)が頻発しますね。他の光増さん作曲のラブライブ曲を聞いていても非常に多用されている印象です。
2段目6小節目の「D E」のところ、ギターソロのソの音がナチュラルになっているのとか、ちょっとした変化が心地いいですよね。
なお、落ちサビ以降はここまでと大きく変わりませんので省略させていただきます。
まとめ
今回はAqours「君のこころは輝いてるかい?」を取り上げました。
始まりの曲のキーをEにしたのは、個人的にはµ'sを受け継ぐという意図を強く感じます。それだけ、当時のµ'sをある種象徴するキーだという印象が強いです。
先日のフェス開催からますます盛り上がるラブライブ全体の展開に、これからも目が離せません。
次回更新予定
次回は同じラブライブから、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の同じく始まりの曲である「TOKIMEKI Runners」を取り上げる予定です。
更新履歴
2020/2/9 記事投稿
2020/2/25 微修正
水瀬いのり「夢のつぼみ」のコード進行などを語る
本記事では、水瀬いのり1stシングル「夢のつぼみ」より表題曲のこちらを取り上げます。
概要
2015年12月2日に発売された、水瀬いのり1stシングル「夢のつぼみ」の表題曲です。
曲のキーはGから始まり、サビはBb、さらに間奏で一瞬Dbに転調しています。それぞれ短三度の関係にあり、ポップスでは多く用いられる転調のうちの1つです。
疾走感を感じさせる曲調にデビューシングルらしい不安を抱えつつも前向きな様子を表した歌詞を合わせた、非常に完成度の高い楽曲だと思います。現在にも続く彼女の人気を勢いづけた1曲であることは間違いないでしょう。
作編曲の渡部チェルさんは改めて述べるまでもなく、アニソンに限らず多方面で活躍されている作曲家です。水瀬いのりさんの曲では、他にも1stアルバムに収録された「春空」を書いています。
イントロ
(N.C.)|(N.C.)|(N.C.)|(N.C.)|
G|G/B|C|C|(N.C.)|(N.C.)|D F|(F) E Eb D|
G|G7/F|C/E|Cm/Eb|Dsus4|D|
G-G/B-Cの流れや、G-G7/F-C/E-Cm/Ebの流れは”イントロ感"を感じさせる進行ですね。
Aメロ
G|G|D/F#|D/F#|Em|D|C|C|
Am|Am|G/B|G/B|Cm|Cm|D|D| (※2番はこの後16小節のみ)
G|G|D/F#|D/F#|Em|D|CM7|CM7|
Am|Am|Bm|E7|Am7|D7sus4(9)|Eb F|G|
カノン進行系の基本的な進行でまとめられています。
最後のVIb-VIIb-Iはこのブログでも既出ですが、アニソンではよく見られる形です。
Bメロ
C D|Em7|F#m7-5 B7|Em7|C|A7/C#|D7sus4(9)|D7sus4(9)|
D7sus4(9)|F7sus4(9)|
IV-V-VImから、VImへのツーファイブの基本的な形。F#m7-5 B7 Em7では、E-D#-Dの下降ラインが綺麗ですね。ピアノのトップの音で聞くことができます。
この曲で特徴的なのは、Aメロでも登場しましたが今後も頻出するV7sus4(9)でしょう。実際に弾くときにはIV/VあるいはIIm7/Vを意識すればよい(D7sus4(9)ならC/D,Am7/D)と思います。この曲ではVの代わりに多く用いられています。
サビ
Eb|Eb|Bb/D|Bb/D|Dbdim|Dbdim|AbM7|Fsus4 F|
Eb|Bb/D|D|Gm|Cm7|Cm7|F7sus4(9)|F7|
Bメロ最後のF7sus4(9)を受けてBbに転調します。
カノン進行がベースになっていますが、Dbdimはやや珍しい使われ方のように感じます。AbM7はVIIb(M7)にあたる和音で、Vの前に挟まれることがたまにあります。VIbが同様の使われ方をする場合もあります。
最後の8小節は、Bb/Dの部分がFになった王道進行を持ってくるパターンがアニソンでは多いですが、ここはカノン進行をそのまま生かした形になっています。
間奏①
Bb|Bb7/Ab|Eb/G|Ebm/Gb|Fsus4|D|
イントロ後半と同じ進行をBbに移しただけです。AメロでキーがGに戻るので、そのVでDが最後に置かれています。
2番
Aメロの後半16小節から始まってサビまで同じです。
間奏②
GbM7|GbM7|Fm7|Bb|Eb Fm Eb/G Ab|(Ab) Bbm Cm|Bbsus4|Bbsus4|
Bb|Bb|
一瞬さらに短3度上のDbに移ったかのようになりますが、すぐにBbに戻ってきます。
Cメロ
EbM7|EbM7|Gm7|Gm7|Fm7|G7|Cm Bb Ab|(Ab)|
F7sus4(9)|F7sus4(9)|Dsus4|D|F7sus4(9)|
最後はF7からDにいってキーがGに戻るかと思いきや、やっぱりF7でBbに戻されます。騙されたような感じを受けますね。
落ちサビを入れるのではなく、Cメロを一瞬落ち着かせるという手法をとっています。曲に変化を持たせると同時にラスサビに向けて力を溜める、といったところでしょう。
ラスサビ
Eb|Eb|Bb/D|Bb/D|Dbdim|Dbdim|AbM7|Fsus4 F|
Eb|Bb/D|D|Gm|Cm7|Cm7|F7sus4(9)|F7|
Bb|G7|Cm7|Cm7|F7sus4(9)|F7sus4(9)|
基本的にサビと同じですが、BbからG7のクッションを置いて最後のフレーズのみ繰り返されます。
アウトロ
Bb|Bb7/Ab|Eb/G|Ebm/Gb|Bb|Bb7/Ab|Eb/G|Ebm/Gb|
F7sus4|F7|Bb|
イントロと同じものを繰り返してフィニッシュです。
まとめ
1stシングルからこの曲を持ってきた水瀬いのりさんは、やはり強いなあと素直に感心する限りです。当時からごちうさやがっこうぐらしなどの有名ヒット作品を抱え、若いながらも満を持してのソロデビューという感じがありましたが、期待に全く負けることのない楽曲で頭が上がりません。
今後も多方面で活躍が期待される女性声優の1人であることは間違いないでしょう。
次回更新予定
楽曲・日時ともに未定です。進捗など、Twitterでも随時告知しておりますのでフォローよろしくお願いします。
ウーロン茶 (@wooooolong_tea) | Twitter
更新履歴
2018/11/1 記事投稿
水瀬いのり「TRUST IN ETERNITY」のコード進行などを語る
TRUST IN ETERNITY / 水瀬いのり
本記事では、水瀬いのり6thシングル「TRUST IN ETERNITY」より、表題曲のこちらを取りあげます。
水瀬いのり「TRUST IN ETERNITY」MUSIC VIDEO
概要
2018年10月17日に発売された水瀬いのり6thシングル「TRUST IN ETERNITY」の表題曲です。
曲のキーはF#mです。ただ、平行調のAに飛んでいるように考えた方が分かりやすい場所も多くあります。ポップスではよくあることですね。
この曲はMVからも分かる通り「かっこいい系」となっております。水樹奈々さんが好きだとかねてより本人が公言していますが、どことなくそれを意識させるような楽曲・歌い方ですね。
作編曲の加藤裕介さんはアニソンで近年よく目にする方の1人で、水樹奈々「禁断のレジスタンス」、ワルキューレ「ワルキューレがとまらない」、藍井エイル「ラピスラズリ」、TRUE「DREAM SOLISTER」、大橋彩香「ワガママMIRROR HEART」など多数の有名曲があります。水瀬いのりさんでは、過去に「いつもずっと」の作編曲も行っています。
イントロ
ゆっくりしたテンポから入り、5小節目から速くなります。
D-Eという入りや、Bm-C#mのあたりはキー:Aのような印象ですが、最後はC#とキー:F#mのVでAメロに向かいます。
Aメロ
F#m7|F#m7|B/F#|B/F#|D|E|F#m7|F#m7|
F#m7|F#m7|B/F#|B/F#|D|E|Bsus4|B|
B/F#は特徴的なコードですね。Aメロの最後のBも突然現れる印象があります。
例えば、II/I(キー:CでD/C)はIの次に使われるコードとしてたまに用例がありますが、それと似たような意味でしょうか?ルートを動かさずにコードだけ動く進行はイントロやAメロで多く見られ*1、高揚感・期待感のようなものを感じさせます。
最後のBはよくわからないのが正直なところです。直前のEはキーAとBにおいて*2共通で用いられる(ダイアトニック)コードですから進行自体に違和感は特にありませんが・・・
Bメロ
DM7|C#m7|CM7|Bm7|BbM7|BbM7|A|B|
Aメロ最後のBがなかったかのように元のキーに戻った進行を思わせるDM7から半音ずつルートが下がっていきます。個人的にこの進行はメロディーがつけづらい印象で、使いこなせる人はすごいなあと感心してしまいます*3。
サビ
F#m|D|A|A|E|E|Bm|C#m| (※2番はここまで)
F#m|F#m|D|D|Bm|C#m|D|G|F#|F#|
F#m-Dの入りは小室進行を思わせますが、ここはキー:F#mでI-VIと考えるのが正解なような気がします。 ただ、そう考えると16小節目のC#mはちょっと特殊ですね。まあポップス曲において平行調はあまり深く考える意味もありませんし、これ以上深入りするのはやめておきましょう。
最後はGからF#です。G(IIb)はC#(V)の裏コードと考えておけばよいでしょう。最後をメジャーコードで締めるのは希望のようなイメージを沸かせますね。
間奏①
イントロの最後4小節を持ってきただけかと思いきや、G#mではなくDが用いられています。適当に聞いていると間違えてしまいそうです。
2番Aメロ~サビ
基本的には1番と同じです。
サビは16小節のみとなっています。サビが長かったり、2段で構成されている場合に2番で用いられがちな手法ですね。聞き手を飽きさせない工夫であり、かつ、ラストで2段目のサビを印象づけることが出来ます。上記にあげた曲にも似た構成のものが多く見られ、作曲者お気に入りなのではないでしょうか。
2番サビの「祈りの詩(うた)」という歌詞は特徴的ですね。水瀬いのりさんの楽曲ではInnocent flowerで繰り返し「いのり」という歌詞が登場したり、あるいはStarry Wishの2番で1stシングルの曲名である「夢のつぼみ」という歌詞が登場するなど、ファンの印象にも残りやすい歌詞が使われることが多々あります。
間奏②
F#m|Faug|A/E|D#m7-5|
D|D|A|A|E|E|Bsus4|B|
D|D|A|A|Bm|C#m|D|E|
F#mから半音ずつ下がってくるクリシェです。 頻出ですね。
基本的に落ち着いた進行ですが、よくわからないBも登場しています。
Cメロ
ここまでの曲の流れからすれば普通のCメロという印象を受けます。
最後は奇数小節になっていて一瞬「おっ?」となります。
ラスサビ
F#m|D|A|A|E|E|Bm|C#m|
F#m|F#m|D|D|Bm|Bm|C#sus4|C#|
F#m|F#m|D|D|Bm|C#m|D|G|(N.C.)|
基本的にサビと同じ進行です。
後半部がほぼ倍になっています。
アウトロ
D|E|F#m|C#m|Bm|C#m|G#m|C#sus4 C#|
D C#m Bm|(Bm) A G|(G)|(G) F#m|
イントロに最後をつけたようなよく用いられる形ですね。
まとめ
今回は水瀬いのり「TRUST IN ETERNITY」を取り上げました。
かっこいい楽曲に仕上がっており水樹奈々を思わせると言いましたが、まさに上にあげた「禁断のレジスタンス」を思わせる部分も多く感じます。曲自体だけでなく、MVもどことなくそれを思わせます。水瀬いのりさんのやりたかったことのうちの1つが、かなり近い形で実現されたのではないかと個人的に妄想しておきます。
6thシングル発売と同日に、2018年7月1日に行われた水瀬いのりライブツアー幕張公演のBlu-ray Discも発売されております。水瀬いのりさんに興味を持たれた方はぜひこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。
水瀬いのり『Inori Minase LIVE TOUR BLUE COMPASS』ダイジェスト
Inori Minase LIVE TOUR BLUE COMPASS [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2018/10/17
- メディア: Blu-ray
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次回更新予定
1週間後の10/26(金)あたりまでには更新予定です。
→やや遅くなりましたが更新いたしました。ぜひご覧ください。
更新履歴
2018/10/19 記事投稿
2018/11/1 一部文章修正
麻倉もも「Run for you」のコード進行などを語る
Run for you / 麻倉もも
作曲:山田祐輔 作詞:Mahiro 編曲:山田祐輔
本記事では、前回と同様に麻倉もも1stアルバム「Peachy!」より、こちらの曲を取り上げます。
Peachy!(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc付)
- アーティスト: 麻倉もも
- 出版社/メーカー: ミュージックレイン
- 発売日: 2018/10/03
- メディア: CD
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概要
2018年10月3日発売の麻倉もも1stアルバム「Peachy!」に新規で収録されている曲のうちの1つです。
曲のキーはEです。間奏で一瞬Gに転調します。
「アルバムの表題ではない新規曲として収録される感じ」がどことなく漂っているように感じます。分かりやすいながらもところどころ変化をつけて、特定の人のツボを押さえるような感じでしょうか。この曲ではセブンスやsus4が多用されており聞き取るのに苦労しました。
作曲の山田祐輔さんは初めて目にしましたが、同じTrySailのメンバーである雨宮天さんの「Fleeting Dream」などをかいているようです。残念ながらまだ雨宮天さんのソロ曲はほとんど追えていないのですが、視聴で聞いてみたところ"雨宮天らしさ"の出るいい曲だなあと感じました。2曲に共通することですが、ストリングスが特徴的に挟まれており印象的です。
イントロ
AM7 B|G#m7 C#m|F#m7 Bsus4|EM7 E7|
A#m7-5 Adim|E/G# Gdim|F#m7|Bsus4|
王道進行からツーファイブを挟んでIに戻ってくるという流れ自体は、今現在で最も使われている進行と言ってもよいでしょう。
ただ、VがVsus4になっており、次のIM7-I7にかけてE-D#-Dという下降ラインを作っているあたりが聞いていて気持ちいいです。最も、ここ以外でもこの曲ではBsus4が連発する印象ですが・・・
後半はIV#m7-5から半音ずつ下がってくるクリシェ系の進行で王道進行の代替などとしてよく使われますが、Adim(IVdim)は珍しいように感じます。通常はクリシェをしっかり意識したIVM7あたりが多い印象です。
Aメロ
E/G#|A|Bsus4|C#m|AM7|E/G#|F#m7|B7sus4(9)|
E/G#|A|Bsus4 Cdim|C#m|AM7|E/G#|F#m7 Bsus4|E E9|
I-IV-V-VImの進行は最も基本的な進行のうちの1つで、他には最後のVImを単純にIとしたパターンもよく見られます。 最初のI/IIIは2回目のみというパターンが多い印象で、私はそちらの方が好きです。
後半4小節部もよくある進行ですが、最後に9thのテンションが入っています。オシャレな雰囲気というよりは次への期待感を募らせるような印象を受けます。
Bメロ
AM7|B|G#m7|C#|F#m7|F#7/A#|Bsus4|B|
この曲を通して一番普通の進行です。
サビ
E|B/D# G#7/B#|C#m|Bm7 E|AM7 B|G#m7 C#m|F#m|C D|
E|B/D# G#7/B#|C#m|Bm7 E|A#m7-5|Adim|E/G#|C#|
F#m E/G#|A E/G#|F#m7 FM7|E|
最初8小節の骨格は、カノン進行から王道進行、ツーファイブへと流れていく、イントロの進行と並んで今最も使われている進行でしょう。2,4小節目にいわゆるセカンダリードミナント*1がおかれている形です。8小節目はVIb-VIIbで*2、たまにIの前に置かれるもの。
13-16小節目はイントロで使われていた進行の最後をC#に置き換えただけ。
最後はFM7が珍しく、B7の裏*3を使うならF7になりますが、ミの音を保持したい意図からでしょうか?ともかく、このような細かい変化があるのは聞いていて楽しくなっていいですね。
間奏~2番サビ
基本的に1番と同じです。
間奏
C|D/C|Bm|E|A7|A7|Esus4/B|E/B|B|B|
前半8小節から後半は短3度上のGに一瞬転調。帰りはコードを引き延ばすことでゆるやかにEに戻ってきます。境目はパッとしません。EやA7をキーのコードにしてうまく転調しています。
ラスサビ
特に今までのサビと変化はありません。
アウトロ
AM7 B|G#m7 C#m|F#m7 Bsus4|EM7 E7|
A#m7-5 Adim|E/G# Gdim|F#m7|F#m7|
Bsus4|Bsus4|CM7 FM7|E|
基本イントロと同じですが、最後はしっかり終わりに向かいます。
CM7-FM7-Eはどう解釈すべきでしょうか?どちらもV(B)の代理やクッションに使われがちなコードではありますが、今後の課題としましょう・・・。
まとめ
今回は麻倉もも「Run for you」を取り上げました。
ところどころで細かい工夫が見られ、ある意味で耳コピ泣かせな曲ではあります。
爽やかなサウンドに歌詞が非常にマッチしており、曲としての完成度の高さを感じます。冒頭でも述べましたが、やはりストリングスが効果的に使われているのが印象的ですね。
次回更新予定
次回は10/17(水)発売予定の水瀬いのり6thシングルより「TRUST IN ETERNITY」を予定しています。10/19(金)までには更新する予定です。
→更新しました。ぜひこちらもご覧ください。
更新履歴
2018/10/11 記事投稿
2018/10/19 一部文章変更
麻倉もも「Good Job!」のコード進行などを語る
記念すべき初めての曲ということで、今までも散々触れてきたような曲にしようと思っていたのですが、語りやすそうでかつ好きなタイプの曲が本日発売のアルバムにありましたので、こちらの曲を語りたいと思います。
Good Job! / 麻倉もも
1stライブを今月と来月に控える麻倉ももさんの記念すべき1stアルバムから、1曲目に収録されている表題曲「Good Job!」を本記事では取り上げます。
Peachy!(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc付)
- アーティスト: 麻倉もも
- 出版社/メーカー: ミュージックレイン
- 発売日: 2018/10/03
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
概要
上でも述べたように、本日2018年10月3日発売の麻倉もも1stアルバム「Peachy!」の表題曲です。また、このアルバムを引っ提げて1stワンマンライブが10月と11月に舞浜アンフィシアターで行われます。残念ながら私はチケット情報を掴むのが遅れてしまいライブには参加することはできません。
曲のキーはGです。特に転調はありません。
麻倉ももさんらしい元気な曲調で、大変わかりやすい楽曲だと思います(だからこそ発売日当日に記事を書けているという側面があります)。ライブで絶対に聞きたい1曲であることは間違いないでしょう。
歌いだし
G|D/F#|Em|Dm7 G|C|G/B|Cm|D|
歌いだしはサビから入ります。
アニソン*1に典型的なベースが下降していく形のカノン進行から入り、最近個人的に流行っている気がする4小節目のDm7-G*2を挟んで再びカノンへ。7小節目はAm(7)ではなくベース音からCmととりましたが、これはAm7-5を意識しているとも考えられますし、Cm自体もCの代用などで使われることはありますからどちらの解釈でもよいでしょう。個人的には前者の方がしっくりきます。
イントロ
G|D/F#|Em|Dm7 G|C D/C|Bm B7/D# E|Am|D|
こちらも典型的なカノン進行からのスタート。5,6小節目に王道進行(系)の進行を持ってくるのもアニソンでは頻出。6小節目はコードとしてどうとるか若干悩みどころ。2拍目裏のベースがD#の音を鳴らしておりB7を挟んでいるとしましたが、実際のところBm-Eでしょう。同じようなことが7小節目でも起こっているけれど、こちらはAmしかとっていませんが・・・
Aメロ
G|D/F#|Em|D|C|Bm Em|A|D|
G|F#m7-5 B7|Em|Dm7 G|C D/C|Bm Em|Am D|G|
頭8小節は語ることがないくらい典型的なカノン進行のAメロ。
後半は2小節目でやや変化。カノン進行の変化としてよく見られる進行の一つです。後はここまでに出てきたちょい変更をくっつけたような感じ。
メロディーも極めて平凡であり曲としては特に語ることはありませんが、コード進行とあわせてこれは「テンプレ故の安心感」とでも言うものでしょう。聞く側としても安心して歌に集中できるとともに、歌う側としても歌とともにライブパフォーマンス等に集中できることでしょう。何も悪いことはなく、むしろ私は良いことだと思っています。現代のライブを行うような声優には、持論ではありますがこういう曲が必須です。
Bメロ
これも典型的なEmからルートが半音クリシェで下がってくるパターンのうちの1つ。5小節目からは逆に半音上昇でDへと向かいます。
8小節+1小節で力をためてサビへ。
サビ
G|D/F#|Em|D|C|G/B|A|D|
G|F#m7-5 B7|Em|Dm7 G|C|G/B|Cm|D|
ここまで来れば進行について解説する必要はないでしょう。今まで出てきたものばかりです。この曲は全体を通して、典型的なカノン進行・王道進行を基盤に少しずつ味付けしておく程度にとどめてあるようです。Aメロの項でも述べましたが、これは当然意図的に行われているものでしょう。
間奏~2番サビ
間奏はイントロ、2番は1番のそれぞれと進行は同じです。
メロディーや編曲についても特に変わった点はないはずです。
間奏②
ここはコードというほどコードという感じではないので割愛します。
アニソンの間奏といえばギターソロというイメージがあるような気がしますが、この曲ではそうではありません。とはいっても、キメとギターが呼応するような感じになっており、そこそこ見られる形でしょう。
Cメロ*3
|C D|G Em|C D|G|C D|B/D# Em|Cm|A/C#|
D|D|D|D|
Cメロということでコードも趣が変わります。と言っても大きく変わるわけはなく、主要コードを並べているだけです。IV-V-I(-VIm)はその最も基本的な並べ方と言っても過言ではないでしょう。5,6小節目は典型的な王道系の進行。そしてこの曲では何度目かの登場のCm-A/C#-Dです。
話が変わりますが、Cメロの歌詞は一番「麻倉ももらしさ」が出ているように感じます。作詞家の方がそれをイメージしたのか、あるいは麻倉ももさん本人からの要望なのか、経緯はわからないわけですが間違いなく意識されていることでしょう。最後の「すくってあげる」はあれでオッケー出たんですね。「る」をどのタイミングで発するか、とても難しいように思います。
ラスサビ
コード進行はサビと同じです。
頭の2小節はラスサビらしいキメが入ります。普通に落ちサビ*4でもよいかと思いましたが、Cメロから歌いっぱなしになりますし、曲の長さとしてもこれくらいが適当なのでしょう。
アウトロ
進行はイントロと同じ。歌が多少重なります。
ここまで見事にすべて典型的と言えるでしょう。
まとめ
今回は麻倉もも「Good Job!」を取り上げました。
曲としては典型的ですが、それはまた必須なナンバーであることも意味しています。今後の麻倉ももさんを代表する1曲となることでしょう。
次回更新予定
次回は同アルバムより「Run for you」を予定していますが、あくまで予定です。
日時等は未定です。
→更新しました。ぜひこちらもご覧ください。
更新履歴
2018/10/3 記事投稿
2018/10/11 一部文章変更
*1:初めての記事なので一応書いておきますが、アニメ主題歌に限らずアニソン系アーティストや声優が歌う歌を包括してアニソンと呼んでいます。
*2:Cに対するツーファイブ。本来DとなるところDm(7)を挟むため若干変化が生まれる。Dがダイアトニックなのに対してDmがノンダイアトニックだから~とか言えばいいんだろうけど、用語を挟んで難しくしたくないというのがこのブログの1つのポリシーです。
*3:厳密にはDメロという方が正しいかもしれないが、このブログでは一貫してサビはサビとして別で扱い、A,B,C,...の流れには混ぜない。
*4:当ブログにおいて「落ちサビ」とは、「ラスサビの前の静かなサビ」を指します。有名どころで今思いついたので「only my railgun」のそれです。なお、「ラスサビ」はそのまま曲の最後のサビを指します。