水瀬いのり「夢のつぼみ」のコード進行などを語る
本記事では、水瀬いのり1stシングル「夢のつぼみ」より表題曲のこちらを取り上げます。
概要
2015年12月2日に発売された、水瀬いのり1stシングル「夢のつぼみ」の表題曲です。
曲のキーはGから始まり、サビはBb、さらに間奏で一瞬Dbに転調しています。それぞれ短三度の関係にあり、ポップスでは多く用いられる転調のうちの1つです。
疾走感を感じさせる曲調にデビューシングルらしい不安を抱えつつも前向きな様子を表した歌詞を合わせた、非常に完成度の高い楽曲だと思います。現在にも続く彼女の人気を勢いづけた1曲であることは間違いないでしょう。
作編曲の渡部チェルさんは改めて述べるまでもなく、アニソンに限らず多方面で活躍されている作曲家です。水瀬いのりさんの曲では、他にも1stアルバムに収録された「春空」を書いています。
イントロ
(N.C.)|(N.C.)|(N.C.)|(N.C.)|
G|G/B|C|C|(N.C.)|(N.C.)|D F|(F) E Eb D|
G|G7/F|C/E|Cm/Eb|Dsus4|D|
G-G/B-Cの流れや、G-G7/F-C/E-Cm/Ebの流れは”イントロ感"を感じさせる進行ですね。
Aメロ
G|G|D/F#|D/F#|Em|D|C|C|
Am|Am|G/B|G/B|Cm|Cm|D|D| (※2番はこの後16小節のみ)
G|G|D/F#|D/F#|Em|D|CM7|CM7|
Am|Am|Bm|E7|Am7|D7sus4(9)|Eb F|G|
カノン進行系の基本的な進行でまとめられています。
最後のVIb-VIIb-Iはこのブログでも既出ですが、アニソンではよく見られる形です。
Bメロ
C D|Em7|F#m7-5 B7|Em7|C|A7/C#|D7sus4(9)|D7sus4(9)|
D7sus4(9)|F7sus4(9)|
IV-V-VImから、VImへのツーファイブの基本的な形。F#m7-5 B7 Em7では、E-D#-Dの下降ラインが綺麗ですね。ピアノのトップの音で聞くことができます。
この曲で特徴的なのは、Aメロでも登場しましたが今後も頻出するV7sus4(9)でしょう。実際に弾くときにはIV/VあるいはIIm7/Vを意識すればよい(D7sus4(9)ならC/D,Am7/D)と思います。この曲ではVの代わりに多く用いられています。
サビ
Eb|Eb|Bb/D|Bb/D|Dbdim|Dbdim|AbM7|Fsus4 F|
Eb|Bb/D|D|Gm|Cm7|Cm7|F7sus4(9)|F7|
Bメロ最後のF7sus4(9)を受けてBbに転調します。
カノン進行がベースになっていますが、Dbdimはやや珍しい使われ方のように感じます。AbM7はVIIb(M7)にあたる和音で、Vの前に挟まれることがたまにあります。VIbが同様の使われ方をする場合もあります。
最後の8小節は、Bb/Dの部分がFになった王道進行を持ってくるパターンがアニソンでは多いですが、ここはカノン進行をそのまま生かした形になっています。
間奏①
Bb|Bb7/Ab|Eb/G|Ebm/Gb|Fsus4|D|
イントロ後半と同じ進行をBbに移しただけです。AメロでキーがGに戻るので、そのVでDが最後に置かれています。
2番
Aメロの後半16小節から始まってサビまで同じです。
間奏②
GbM7|GbM7|Fm7|Bb|Eb Fm Eb/G Ab|(Ab) Bbm Cm|Bbsus4|Bbsus4|
Bb|Bb|
一瞬さらに短3度上のDbに移ったかのようになりますが、すぐにBbに戻ってきます。
Cメロ
EbM7|EbM7|Gm7|Gm7|Fm7|G7|Cm Bb Ab|(Ab)|
F7sus4(9)|F7sus4(9)|Dsus4|D|F7sus4(9)|
最後はF7からDにいってキーがGに戻るかと思いきや、やっぱりF7でBbに戻されます。騙されたような感じを受けますね。
落ちサビを入れるのではなく、Cメロを一瞬落ち着かせるという手法をとっています。曲に変化を持たせると同時にラスサビに向けて力を溜める、といったところでしょう。
ラスサビ
Eb|Eb|Bb/D|Bb/D|Dbdim|Dbdim|AbM7|Fsus4 F|
Eb|Bb/D|D|Gm|Cm7|Cm7|F7sus4(9)|F7|
Bb|G7|Cm7|Cm7|F7sus4(9)|F7sus4(9)|
基本的にサビと同じですが、BbからG7のクッションを置いて最後のフレーズのみ繰り返されます。
アウトロ
Bb|Bb7/Ab|Eb/G|Ebm/Gb|Bb|Bb7/Ab|Eb/G|Ebm/Gb|
F7sus4|F7|Bb|
イントロと同じものを繰り返してフィニッシュです。
まとめ
1stシングルからこの曲を持ってきた水瀬いのりさんは、やはり強いなあと素直に感心する限りです。当時からごちうさやがっこうぐらしなどの有名ヒット作品を抱え、若いながらも満を持してのソロデビューという感じがありましたが、期待に全く負けることのない楽曲で頭が上がりません。
今後も多方面で活躍が期待される女性声優の1人であることは間違いないでしょう。
次回更新予定
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更新履歴
2018/11/1 記事投稿